国際収支の分類

 

国際収支の分類は2014年1月に変更になった。以下の分類は新基準によるものである。

(問)次の国際取り引きはそれぞれ何収支に分類されるか。

 

@日本の家電メーカーが米国に輸出して受け取った代金

A日本人海外旅行者が外国で払ったホテル宿泊費

B日本企業が中国に工場を建設するために送金した資金

C日本が中国に保有する企業から得た収益

D日本政府がアメリカ国債を買った資金。

E日本政府が受け取った米国債の利子

F外国人が日本の株を買った資金

G日本政府が途上国に無償で援助した医薬品

 

答@貿易・サービス収支A貿易・サービス収支B金融収支(プラスに記載)C第一次所得収支D金融収支 (プラスに記載)E第一次所得収支 F金融収支(マイナスに記載)G第二次所得収支

 

 ここまではセンター試験などでもよく見られるおなじみの例題である。
ところが、資料集などでは有名人を使った例がしばしば登場し、しかもその答えが間違っている場合があるので気をつけたい。私も細かなところまでは自信がなかったので、財務省に問い合わせたことがある。

(Q1)
マリナーズで活躍するイチロー選手の所得は日本のGNPに入るか?

(答)日本のGNPには入らない。
イチロー選手は日本に居住しておらず(=非居住者)、したがってその所得はアメリカのGDPに算入され、日本のGNPには算入されない。よく、海外で活躍する「日本人の所得」が日本のGNPだと説明されることがあるが、これは日本に居住している人についてのみいえることである。

 

(Q2)
浜崎あゆみがアメリカ公演で所得を得た。これは日本のGNPに入るか?

 

(答)浜崎あゆみは日本の「居住者」であるから、もちろん日本のGNPに入る

 

 

 (Q3)
イチロー選手がアメリカから日本に1000万円を送金した。これは国際収支の何収支に分類されるか。

 

 (答) 第二次所得収支 ( ← 第一次所得収支ではないことに注意!)

 

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